支援者が押さえておきたい“本質”と“実践のポイント”
「早期療育は大事」とよく言われますが、
なぜ重要なのか、どこに効果があるのか、
そして支援者として何を意識すべきなのか──
現場で子どもと関わる私たちが理解しておくべきポイントは、
実はとても明確です。
早期療育とは「早くトレーニングすること」ではありません。
“発達の土台”を育て、
“できる体験を積み重ねる環境”をつくることです。
本記事では、現場の支援者が必ず押さえておきたい
早期療育の本質・効果・支援の方向性 をまとめます。
1. 早期療育が重要である3つの理由
理由① 脳の可塑性が高い時期だから
幼児期は、脳の神経回路が最も発達しやすい時期です。
ここで得た経験は、
・行動
・学びの姿勢
・コミュニケーション
・社会性
などの“基礎”として蓄積されます。
ここで大切にしたいことは、「苦手を治す」という感覚ではなく、「できる機会を増やす」 ことで
長期的な伸びに大きく影響します。
理由② 課題が固定化しにくい
生活リズムや学習習慣がまだ固まっていない時期は、
・不安のクセ
・こだわりのパターン
・困り行動の連鎖
などが改善しやすい段階です。
逆に小学校以降になると、
生活の型ができ、社会の要求レベルが上がり、
“二次的なつまずき”=二次障害が増えることが多いのが現実です。
理由③ 親支援がもっとも効果を発揮する時期
早期段階では、
保護者の関わり(声かけ・環境づくり)が
子どもの発達に直接作用しやすいです。
支援者が家庭と連携し、
“家庭版の支援”を整えるだけで
変化が大きくなりやすいのが特徴です。
2. 早期療育で押さえておくべき「4つの土台」
早期療育では「学習」より先に
“発達の土台づくり”を意識します。
土台① 情緒の安定(安心できる環境)
・見通し
・予測
・一貫した関わり
・感覚面の配慮
子どもにとって「安心」があって初めて、「集中」や「挑戦」が生まれます。
土台② コミュニケーション
・要求の伝達
・指示の理解
・共同注意
・社会的なやりとり
話す力より、伝える力・理解する力 を重視します。
どうしても保護者の方で、「話せるように」ということを目標にしたいと言われることがありますが、話すよりも前に、「伝えたい気持ち」作りや様々なことを「理解する力」を育てていくことがとても大切です。
土台③ 集中・注意のコントロール
・座る時間
・切り替え
・待つ力
・注意の向け方
これが後の学習・生活習慣の基礎になります。
まずは、目の前のことに取り組む姿勢作りや意欲作りをしていくことがとても大切です。
土台④ 運動・感覚の育ち
・体幹
・粗大運動・微細運動
・感覚統合(触覚、前庭感覚など)
身体の使い方が安定すると、活動全体がスムーズになります。
逆といえば、身体の使い方が安定しないと、活動に集中することが難しかったり、学習に追いついていくことが難しくなったりしてしまうこともあります。
3. 早期療育で“やってはいけない”3つのこと
NG① とにかく課題を詰め込む
→ 療育=勉強ではありません。
子どもが「できる」と感じる環境づくりが基本です。
また、発達検査の内容のような課題ばかり行うこともおすすめしません。
NG② 困り行動だけを消そうとする
→ 行動には必ず“背景”があります。
不安・見通し不足・感覚刺激…
背景を見ずに行動だけを抑えると、別の困りごとが増えます。
根本的な原因を常に見ていくことがとても大切です。
NG③ 保護者だけを責める
→ 家庭の習慣ができるには支援者の伴走が必要不可欠です。
支援者は子どもに関する専門家です。保護者の方よりも子どものとのかかわりが上手であったり、子どものことに気付くことが多かったり、ということはよくある話です。
「できる作戦を一緒に作る」視点が大事です。
4. 支援者が今日からできる“早期療育のワンポイント実践”
① 1日の流れを安定させる
活動の順番・ルーティンを固定化し、
“安心できる枠組み”をつくりましょう。
② 見通しを“視覚情報”で伝える
言葉よりも、
・写真
・絵カード
・タイムタイマー
などを使い、見通しを持つようにしていくと、子どもの負担が少なくなります。
③ 小さな成功体験を増やす
達成しやすい課題を設定し、
「できた → ほめられた → がんばれる」の循環をつくる。
ポイントは、ほめる+驚きを入れるとより効果的です。
また、ほめる際には、具体的にほめること、「できた・できない」ではなく、どう工夫をしていたか、どう努力をしていたかなどについて伝えていくとGOODです。
④ 感覚面の困りに気づいて配慮する
・音
・匂い
・光
・肌ざわり
過敏さ・鈍感さが行動の背景にあることは多いです。
環境調整はすぐにできる支援の1つですので、考えてみてください。
⑤ 保護者へ“家庭版の作戦”を共有する
家での声かけ・ルーティン・見通しの伝え方を
シンプルに共有するだけで大きく変わります。
ここで大切なのは、簡単にできそうと思える内容で伝えていくことです。
5. 早期療育の目的とは
早期療育の目的は、
「発達を早くすること」ではありません。
目的はたったひとつ。
その子が“自分らしく”生活・学習・遊びを楽しめる基盤をつくること。
そのために支援者は、
・環境
・関わり方
・成功体験
・感覚と認知の配慮
を整えていく必要があります。
6. 支援者へのメッセージ
早期の段階で、
子どもが「安心して挑戦できる場」をつくれるのは、
家庭と現場をつなぐ支援者だけです。
小さな成功を積み重ねながら、
子ども自身が「できる自分」に気づいていく。
その一歩一歩を支えるのが、
早期療育に関わる支援者の大切な役割です。
児童発達支援・放課後等デイサービスSHIPは、山梨県笛吹市にある、丁寧で、一人ひとりに最適な療育を行うことを目標として日々支援にあたっています。
障害のある子の支援にご興味のある方は、ぜひ一度見学にお越しください♪

