「発達の最近接領域」は、子どもに難しい課題を続けさせるための考え方ではありません。今、一人でできることと、支えがあれば取り組めることの境目を丁寧に見つけ、手助けの方法や活動の難しさを調整するための視点です。
SHIPでは、この考え方を合言葉で終わらせず、一人ひとりの姿を理解し、日々の関わりを考え、職員同士で振り返るために生かしています。
ゆうた先生今できることと、少し支えがあればできること。その間を丁寧に見ることが、次の支援を考える出発点です。
発達の最近接領域を、合言葉で終わらせない
子どもの姿を「できる」「できない」だけで分けると、その間にある大切な力が見えにくくなります。
一人ではまだ難しくても、声かけや見本、写真やイラスト、環境の調整などがあると取り組めることがあります。その「どんな支えがあればできるのか」を探すことが、発達の最近接領域を支援に生かす出発点です。
言葉の意味や家庭での例を含む詳しい解説は、「発達の最近接領域とは?児童発達支援で『ちょうどよい支援』を考える方法」で紹介しています。
SHIPの支援を、5つの問いで整理すると
1.今、一人でできるところはどこか
最初から完成した姿を求めるのではなく、始められるところ、続けられるところ、途中で難しくなるところを細かく見ます。
同じ「うまくできない」という姿でも、どこまで自分でできているかは一人ひとり違います。すでに持っている力を見落とさないことを大切にしています。
2.何が難しさにつながっていそうか
ことばの理解、見通しの持ちにくさ、体の使い方、感覚の受け取り方、その日の気持ちや体調など、行動の背景にはいくつもの可能性があります。
一つの姿だけで理由や診断を決めつけず、「なぜ今は難しいのだろう」と考えることから支援を組み立てます。
3.どんな手助けがあると取り組めるか
伝える言葉を短くする、見本を示す、手順を見える形にする、最初の部分だけ一緒に行うなど、必要な支えは子どもによって異なります。
手助けは多ければよいわけではありません。子どもが自分で考えたり試したりできる部分を残しながら、取り組みやすい方法を探します。
4.今の姿に合う活動になっているか
活動の内容だけでなく、課題の量、提示の仕方、取り組む順番、周囲の環境なども調整の対象です。うまくいかないときは、子どもに頑張ることだけを求めず、活動や関わり方の側も見直します。
SHIPの個別活動で、子どもの姿をどのように捉え、活動へつなげているかは、「SHIPの個別活動」で詳しく紹介しています。
5.次の関わりをどう変えるか
一度の活動だけで判断せず、どのような支援があると取り組みやすかったか、どこで難しさが見られたかを振り返ります。
うまくいった方法をそのまま続けるだけでなく、子どもの変化に合わせて、支援を少し減らすのか、別の方法を試すのかを考えていきます。
一人の見立てで終わらせず、毎日共有する
SHIPでは、毎日の終礼で、一人ひとりの子どもの様子を職員全体で共有しています。
- どのような関わりがうまくいったか
- どこに難しさが見られたか
- 次はどのように関わるか
担当した職員だけが分かっている状態にせず、複数の視点を持ち寄りながら次の支援を考えるためです。
子どもの姿は、その日の気持ちや体調、活動する相手や環境によっても変わります。一つの場面だけで決めつけず、日々の小さな変化を共有しながら理解を重ねていきます。
職員が学び続けることも、支援の一部です
子どもの行動の理由を丁寧に考えるためには、職員側も知識や見方を更新し続ける必要があります。
SHIPでは、発達理解、障害特性、支援方法、摂食、姿勢や運動、感覚などをテーマに、事業所内で研修を行っています。
学んだ言葉を並べることが目的ではありません。目の前の子どもの姿をより丁寧に理解し、支援の理由を職員同士や保護者の方へ分かりやすく伝えられるようにすることを大切にしています。
ご家庭と、無理なく続けられる形を探します
SHIPで見える姿と、ご家庭で見える姿が同じとは限りません。場所や相手が変われば、取り組みやすさも変わるためです。
SHIPでうまくいった関わりをご家庭へお伝えしたり、ご家庭での様子を教えていただいたりしながら、その子に合う方法を一緒に考えます。
ご家庭だけに取り組みを委ねるのではなく、無理なくできる形を相談しながら進めていくことを大切にしています。
SHIP中央の支援を具体的に知りたい方へ
SHIP中央の児童発達支援について、支援で大切にしていること、個別活動と小集団支援、利用までの流れなどをまとめています。お子さまに合う場所かを考えるための情報としてご覧ください。
支援だけでなく、運営に関する情報も公開しています
支援への信頼は、考え方を伝えるだけで生まれるものではないと考えています。
各種資料では、支援プログラム、安全管理、虐待防止・権利擁護、苦情・相談対応、自己評価など、公開可能な資料を掲載しています。内容や更新状況は、それぞれの資料でご確認いただけます。
代表者の経歴や、支援と運営に向き合う背景については、代表者からのメッセージで紹介しています。
子どもの今を理解し、次の一歩を一緒に考える
発達の最近接領域は、すべての子どもに同じ目標や方法を当てはめる考え方ではありません。
今できていることを大切にしながら、どのような支えがあれば次の一歩へ取り組めるのかを考える。その過程を職員同士、ご家庭と共有しながら、支援を調整していくことがSHIPの実践です。
