「欲しいものがあるようだけれど、何が欲しいのか分からない」
「伝わらないと泣いてしまい、親もどうしたらよいか迷う」
そんな場面はありませんか。お子さんが泣いていると、大人も早く気持ちを落ち着かせてあげたくなりますよね。
泣くことも、今の気持ちを周りに知らせる方法の一つです。ただ、欲しいものやしてほしいことが伝わらず、本人も困っている場合があります。まずは安心できるように関わりながら、その子がすでに使っている伝え方を見つけていくことが大切です。
この記事では、家庭で取り入れやすい5つの工夫を紹介します。
まずは「何を伝えようとしているか」を見てみましょう
同じように泣いていても、欲しいものがあるとは限りません。遊びを続けたい、手伝ってほしい、疲れた、場所を離れたいなど、場面によって伝えたいことは異なります。
泣く直前に何があったか、どこを見ているか、何に手を伸ばしているかを確かめてみましょう。「おもちゃを取ろうとしたけれど届かなかった」など、前後の様子が分かると、大人の応じ方も考えやすくなります。
すぐに理由が分からないときは、無理に言わせようとせず、まず安全と落ち着きを優先してください。
1.指差しや視線、手を引く動きも受け止める
子どもは、ことば以外にもさまざまな方法で気持ちを伝えます。欲しいものを見る、指を差す、大人の手を引く、物を持ってくる。こうした行動にも「これが欲しい」「一緒にして」という思いが含まれているかもしれません。
たとえば棚のおもちゃに手を伸ばしていたら、「これで遊びたいんだね」と短く言葉を添えてみましょう。大切なのは、子どもの今の伝え方で気持ちが届いたと感じられることです。
SHIPスタッフ2.分かりやすい二択で確認する
何を求めているか分からないときは、候補を二つほど見せて確認してみます。
「水? お茶?」と実物を見せる。「赤い車? 青い車?」と近くに並べる。子どもが見たり、触れたり、手を伸ばしたりすれば、それも選んだことを伝える手がかりになります。
選択肢が多すぎると迷うこともあるため、最初は少なくします。ただし、急いでいるときや泣きが強いときは、選ばせることより落ち着ける関わりを優先しましょう。
3.伝わったら、短い言葉を添える
子どもが指差しで飲み物を示したら、「お水が欲しかったんだね」「お水、どうぞ」と、場面に合う短い言葉を添えます。
大人が言葉を示すことはできますが、その場で必ず復唱させる必要はありません。指差しでも伝わり、言葉も一緒に聞ける。その経験を少しずつ重ねていきます。
「言えたら渡す」と、必要な飲み物や助けを条件にすることは避けてください。伝えたい気持ちが安心して出せることを大切にします。
4.使いやすい伝え方を増やす
ことばが出にくいときは、指差し、身振り、写真やイラストなど、その子が使いやすい方法を一緒に探せます。
たとえば、おやつの写真を指す、遊びたいおもちゃの絵を選ぶ、「もう一回」の身振りを使うといった方法です。どの方法が合うかは、お子さんの理解や興味、生活場面によって変わります。
道具を増やすこと自体が目的ではありません。本人が使いやすく、大人にも伝わる方法を選びましょう。
SHIPスタッフ5.家庭と園で、伝わりやすい方法を共有する
家庭では伝わっていることが、園では伝わりにくい場合もあります。反対に、園の先生が見つけた分かりやすい関わり方が、家庭で役立つこともあります。
「水が欲しいときはコップを持ってくる」「手伝ってほしいときは大人の手を引く」など、実際に見られた行動を具体的に共有できると、周りの大人が気づきやすくなります。
子どもに同じ反応を求めるためではなく、どの場所でも「伝わった」と感じられる機会を増やすための共有です。
うまく伝えられなかった日も、責めなくて大丈夫です
疲れている日や慣れない場所では、いつも使える伝え方が出にくいこともあります。大人がうまく読み取れない日もあるでしょう。
一度で正解を見つけようとせず、「この場面では何が難しかったかな」「どんな方法なら伝わりやすかったかな」と振り返っていければ十分です。
泣くことをなくすことだけを目標にせず、本人の気持ちが受け止められ、伝える手段が少しずつ増えていくことを大切にしたいですね。
SHIP中央でも、伝わりやすい方法を一緒に考えます
SHIP中央では、お子さんが何を伝えようとしているのか、どんな場面で伝わりにくくなるのかを、遊びや生活の様子から丁寧に見ていきます。個別活動と少人数での活動を組み合わせながら、その子に合うコミュニケーションの方法や、周りの大人の関わり方を考えます。
中央市や周辺地域で、ことばや意思表示について気になっている方は、利用を決めていない段階でも見学・相談ができます。「どんなときに泣くことが多いか」など、今気になっていることからお聞かせください。

