「おもちゃのふたが開かなくて、泣き出してしまう」
「着替えの途中で止まったまま、こちらを呼ばない」
「家では頼めるのに、園では困ったままでいるみたい」
そんな姿に、どうしてあげたらいいのか迷うことはありませんか。
大人から見ると「手伝ってって言えばいいのに」と思う場面でも、子どもにとっては「自分が困っていると気づくこと」と「それを誰かに伝えること」の両方が必要で、そこがまだ難しいことがあります。
言えないのは、お子さんの努力が足りないからでも、育て方のせいでもありません。言葉でなくても大丈夫。お子さんの「困った」がおうちの方に届く形を、少しずつ見つけていきましょう。
この記事では、おうちで試せる5つの関わりを紹介します。
- 困っていることを、大人が短く言葉にする
- お子さんが使っている「サイン」を見つける
- 誰に、どう伝えるかを分かりやすくする
- 必要なところだけ手伝う
- うまくいったときのことを、園の先生と話す
全部やる必要はありません。よく困る場面を一つだけ選んで、できそうなものから試してみてください。
どうして「手伝って」が言えないの?
理由は、お子さんによって違います。例えば、こんなことが考えられます。
- どこが難しいのか、自分でもよく分からない
- 誰を、どうやって呼べばいいか分からない
- 伝えたい気持ちはあるけれど、言葉や動きにしにくい
- 失敗するのが不安、人に話しかけるのが苦手
- 目の前のことや周りの音に気を取られて、人を呼ぶどころではない
一つに決めつけず、「家と園で違いはあるかな」「頼めたのはどんなときだったかな」と思い出してみてください。
また、手が止まっていても、考えている途中だったり、少し休みたかったり、自分でやりたかったりすることもあります。すぐに手を出さず、まずはお子さんの様子を少し見てみてください。
1.困っていることを、大人が短く言葉にする
「どうしたの?」と聞くより、今起きていることをそのまま言葉にしてみてください。
「ふたが開かないね」
「袖に手が引っかかったね」
「どのピースか迷ってるのかな」
そのあとで「手伝おうか?」と短く聞いてみます。
うなずく、物を渡してくる、近くに寄ってくる。そんな反応が「手伝ってほしい」のサインになっていることもあります。顔をそむけたり、物を自分の方へ引き寄せたりしたら、「自分でやりたい」のかもしれません。
予想が外れても大丈夫です。お子さんの反応を見ながら、一緒に確かめていけば十分です。
2.お子さんが使っている「サイン」を見つける
新しい伝え方を教える前に、お子さんがもう使っているサインがないか、探してみてください。
開かない容器を持ってくる。途中でこちらを見る。難しいところを指差す。こうした動きが、その子なりの「手伝って」になっている場合があります。
サインに気づいたら、「開けてほしいんだね」「ここを手伝うね」と言葉を添えて応えてあげてください。その場で「手伝ってって言ってごらん」と言い直させなくても大丈夫です。
シップくん物を見せる、指差す、身振りを使う。お子さんが今使える方法から、助けを呼べるようにしていきましょう。
3.誰に、どう伝えるかを分かりやすくする
家ではすぐ近くにいるおうちの方に頼めても、園では誰を呼べばいいか迷ってしまうことがあります。
落ち着いているときに、身近な場面で伝え方を話しておくと安心です。
「困ったら、先生にこのふたを見せようね」
「近くの大人に『てつだって』って言おうね」
いきなり「誰にでも言えるように」を目指さなくて大丈夫です。まずは安心できる大人と、分かりやすい場面から始めてみてください。
お子さんがよく使うサインや呼び方を園の先生に伝えておくと、先生も気づきやすくなります。声が小さめのお子さんや、身振りが控えめなお子さんも、周りの大人が気づいてあげやすくなります。
4.必要なところだけ手伝う
頼まれたら、まずは「分かったよ」「ここだね」と応えてあげてください。
ファスナーは、差し込むところだけ大人が手伝って、上げるのはお子さんに任せる。固いおもちゃは、大人が支えて、外すのはお子さんがやる。そんなふうに分けてみるのも一つの方法です。
「ここ、持っていようか?」
「一緒にやってみる?」
嫌がるときは、いったん手を止めて大丈夫です。



助けを求めたことを受け止め、その子が取り組める部分を一緒に探します。手伝う量は、その日の様子に合わせて構いません。
忙しい朝や、疲れている日は、大人が全部手伝ってもかまいません。毎回練習にしなくて大丈夫です。
5.うまくいったときのことを、園の先生と話す
「手伝って」が伝わったときは、どんなときだったか思い出してみてください。
「物を見せると伝わりやすかった」
「大人が近くにいると呼べた」
「言い方を聞かせると『てつだって』と言えた」
こうしたことを園の先生と話しておくと、家でも園でも、お子さんに合った手伝い方がしやすくなります。
自分から伝えられることが増えてきたら、大人から先に声をかけるのを少し待ってみるのもよいでしょう。カードなど、お子さんに合った伝え方は、そのまま使い続けてかまいません。
泣いているときは、まず落ち着くことから
大泣きしているときに「手伝ってって言って」と何度も求めると、お子さんがもっとつらくなってしまうことがあります。
まずは安全を守って、手伝ったり、少し休んだりして落ち着くのを待ちましょう。伝え方の話は、落ち着いてから短くできれば十分です。
練習のために、わざと開けにくい物を渡したり、できないことをさせたりする必要はありません。毎日の生活の中で自然に起きる「困った」を、一緒に解決していけば大丈夫です。
よくある質問
何でも「やって」と頼んでくるときは、全部手伝った方がいいですか?
まずは、難しいのか、疲れているのか、やり方が分からないのかを見てみてください。そのうえで「ここは一緒に、最後は自分でやってみる?」と声をかけてみるのも一つです。頼んできたことは受け止めながら、手伝う量は調整できます。
家では言えるのに、園では言えないのはなぜですか?
相手との関係や、周りの音、人の多さなど、家と園では過ごしやすさが違います。園で困っている場面や、頼めた場面について、先生と話してみてください。
まだあまりおしゃべりしなくても、できますか?
言葉以外の方法から始められます。物を見せる、指差す、身振りやカードを使うなど、お子さんがやりやすく、周りにも伝わる方法を一緒に探していきましょう。
SHIP中央に、気軽にご相談ください
SHIP中央では、お子さん一人ひとりの得意なことや、どんな手助けがあると取り組みやすいかを大切にしながら支援しています。
「どこでつまずいているのかな」「どう伝えたら分かりやすいかな」と、具体的な場面から一緒に考えていきます。
中央市や周辺地域で、「できないと泣いてしまう」「園で困っても大人を呼べないみたい」と気になっている方は、今のお子さんの様子を聞かせてください。
利用を決めていなくても、見学や相談はできます。おうちや園で取り入れやすい方法を、一緒に考えていきましょう。
参考資料
こども家庭庁「児童発達支援ガイドライン」(令和6年7月)
https://www.cfa.go.jp/policies/shougaijishien/shisaku/guideline_tebiki
※ガイドラインの「言語・コミュニケーション」の考え方を参考にしています。この記事の5つの関わりは、おうちで取り入れやすいようにSHIP中央がまとめたもので、ガイドラインに書かれた手順ではありません。
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