園の玄関に着くと泣き始め、しがみついて離れられない。毎朝、子どもを置いていくようでつらく、仕事中も「まだ泣いているのでは」と気になる。時間が迫り、つい急かしたり、強く引き離したりした朝を思い返す方もいるかもしれません。
保護者A大切なのは、泣いたかどうかだけで判断しないことです。体調、朝の流れ、園の環境、見通しを分けて考え、離れた後に誰と、どう落ち着けるかも確かめます。すぐに泣かなくなることだけを目標にせず、親子と園でできることを探しましょう。
登園時に泣く背景は一つではありません
次は考えられる背景であり、原因や診断の断定ではありません。
- 保護者と離れる不安や、一緒に過ごしたい気持ち
- 一日の流れや、お迎えまでの見通しの持ちにくさ
- 玄関の混雑、音、人の多さによる負担
- 担任・部屋・活動・生活リズムの変化
- 連休や長期休みの後の切り替えに必要な時間
- 睡眠不足、疲れ、空腹、痛みなどの体調面
- 園で気になる出来事や苦手な場面
泣く姿だけで、わがままや甘やかし、園との相性、親子関係・愛着の問題、発達障害や分離不安症を判断することはできません。「よくあること」「預け続ければ慣れる」と片づけず、その子の困り感を受け止めます。
保育所保育指針と同解説の「情緒の安定」では、一人ひとりが安心して気持ちを表せる関係や、保護者との連携が重視されています。以下の5つは、その原則を踏まえた実践例で、公的資料がこの手順を直接推奨しているという意味ではありません。
登園場面を4つに分けて見る
家庭で見える姿と、園で見える姿を持ち寄るための表です。診断用のチェックリストではありません。スマートフォンでは横にスクロールできます。
| 確認する場面 | 見たい様子 | 支援の手掛かり |
|---|---|---|
| 家を出る前 | 睡眠、体調、準備の進み方 | 朝の工程や時間を調整する |
| 園へ向かう途中 | どの場所から不安が強くなるか | 短い言葉や写真で予定を伝える |
| 玄関・別れの場面 | 人、音、言葉、別れ方への反応 | 合図や引き継ぐ職員をそろえる |
| 保護者と離れた後 | 落ち着くまでの時間、人、活動 | 安心できる人や活動につなぐ |



親子の別れを支える5つの関わり
1.最初に体調と最近の変化を確認する
睡眠時間と起床時の様子、発熱・痛み・食欲・排便を確認します。担任や部屋、送迎する人、家庭生活の変化、連休・欠席の後か、特定の曜日や活動だけで強く泣くかも手掛かりです。体調不良が疑われるときは、登園の工夫だけで解決しようとせず、園の規定や医療機関の助言に従ってください。
2.朝からお迎えまでの流れを短く示す
「着替える→車に乗る→保育園→お迎え」のように、年齢や理解に合わせて伝えます。言葉だけでは分かりにくい場合は写真やイラストを2~4枚に絞ります。時計の時刻だけでなく「おやつの後」「お昼寝の後」など、分かる活動でお迎えを知らせましょう。約束できる予定を伝え、実際と異なる説明はしません。
3.別れの合図を短く、できるだけ一定にする
抱っこして「行ってくるね」、ハイタッチをして職員へ引き継ぐ、「おやつの後に迎えに来るね」など、短い言葉や動作を決めます。何も言わずに姿を消す、泣き止むまで長時間説得する、「泣いたら置いていく」と脅す、身体を引っ張る方法は勧めません。園と相談し、その子に合う長さや引き継ぎ方を考えます。



4.安心できる職員や活動へ引き継ぐ
迎える職員を可能な範囲でそろえ、好きな遊びや役割につなぎます。「靴をしまう」「タオルを置く」など最初の行動を一つに絞り、次の活動を写真や絵カードで示す方法もあります。泣いたごほうびとして物を渡すのではなく、園生活へ入りやすくする手掛かりです。朝の体調や家庭での出来事も短く共有しましょう。
5.泣かなかったことだけでなく、立て直した過程を見る
園まで来た、職員の手を取れた、泣きながら靴をしまえた、バイバイが言えた、遊びへ移れた、落ち着いた後に活動へ参加できた。その日の実際の行動を見ます。「今日は泣かなかったね」だけでなく、「先生と一緒にお部屋へ行けたね」と伝えましょう。



園へ確認・相談したいこと
「こうしてください」と対応を求めるより、家庭での様子を伝え、園で見えたことも教えてもらいましょう。
- 離れた後、どのくらいで落ち着くか
- 誰と一緒にいると安心しやすいか
- どの活動から参加しやすいか
- 特定の曜日・場所・人・活動で不安が強くなるか
- 食事・睡眠・排泄・遊びに変化がないか
- 園で最近変わったことがないか
- 家庭と園でそろえられる合図や伝え方があるか
専門機関へ相談する目安
次の場合は「慣れの問題」と決めつけず、園での出来事、体調、環境の変化を確認し、市町村の相談窓口、児童発達支援、小児科などへ相談してください。
- 離れた後も長時間、強い苦痛が続く
- 登園前後の腹痛・頭痛・嘔吐や睡眠が気になる
- 食事・睡眠・遊びなど日常生活にも大きな変化がある
- 急に強く登園を嫌がる、特定の人や場所を強く怖がる
- 嫌だった、傷ついた出来事を子どもが話す
- 保護者や園の負担が大きくなっている
子どもの話を否定せずに聞き、事実の確認が必要なときは園や関係機関へ相談します。病名や緊急性をこの記事だけで判断せず、体調の心配は医療機関へ伝えてください。
よくある質問
泣いていても、そのまま園へ預けてよいのでしょうか?
泣き方だけでは決められません。体調、離れた後の苦痛や落ち着き方を確認し、園と受け入れ方を相談してください。
泣き止むまで玄関にいた方がよいのでしょうか?
待つ長さに一律の正解はありません。短い合図で引き継ぐ方法も、時間をかける方法も、その子の反応を園と確かめて調整します。
いつ児童発達支援などへ相談すればよいですか?
日数だけを目安にせず、強い苦痛や生活への影響、関わり方への迷いがある段階で相談できます。体調面は小児科などにも相談しましょう。
SHIP中央で、一緒に整理できること
SHIP中央は、山梨県中央市にある未就学児対象の児童発達支援事業所です。登園時に泣くという結果だけでなく、前後の様子や環境を保護者の方と整理します。園内の状況を確認せずに原因を決めることはありません。
個別活動では、予定の理解や自分に合う伝え方を確認します。少人数の活動では、安心できる大人や子どもと過ごす経験を重ねます。例えば、写真で次の活動を確かめる、困ったら大人へ知らせるなど、その子が取り組みやすい方法を探します。
私たちは家庭で使いやすい見通しや声かけを保護者の方と考え、同意のもとで、必要に応じて園と情報を共有します。こうした家族支援や連携は児童発達支援ガイドラインでも大切にされている視点です。
SHIPは登園しぶりや不安を治療する場所ではなく、生活と発達を支援する事業所です。登園を直接代行するものでも、必ず泣かなくなると約束するものでもありません。園の職員が捉えている姿も大切にしながら、家庭と園で続けやすい関わりを一緒に考えます。
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参考にした公的・専門情報
2026年9月16日に公式掲載版を確認。公的資料は情緒の安定、安心できる関係、保護者との連携の基本原則として参照しました。声かけや合図は、家庭・園で反応を見ながら試す例です。
- 厚生労働省「保育所保育指針解説」(平成30年2月/こども家庭庁掲載):第1章「情緒の安定」、第4章「子育て支援」。
- 厚生労働省「保育所保育指針」(平成29年3月告示、平成30年4月適用):第1章・第4章。
- こども家庭庁「児童発達支援ガイドライン」(令和6年7月改訂):第3章の本人支援・家族支援・地域支援・地域連携。
見学・相談で、気になる場面をお聞かせください
登園時に泣くことだけでなく、離れた後の様子や、安心しやすい人・活動を整理することが大切です。中央市、昭和町、甲府市、南アルプス市周辺で相談先を探している方も、利用するか決めていない段階から見学やご相談が可能です。
「玄関から動けない」「離れた後が分からず心配」など、ご家庭や園で気になる場面を、分かる範囲でお聞かせください。うまく説明できるように準備する必要はありません。今の生活で負担になっていること、安心して過ごせた場面を一緒に整理し、次に確かめたいことを考えていきます。

