白い物しか食べない。野菜を見るだけで嫌がる。同じ商品でも形やパッケージが変わると口にしない。園では食べるのに、家では食べない――。子どもの偏食が気になると、毎日の献立や栄養のことまで心配になりますね。
保護者A「一口だけでも」と言い続けて疲れてしまう日もあるかもしれません。まずは、食べた量だけで親子の頑張りを測らず、食べにくさの背景を一緒に整理してみましょう。



子どもの偏食を「好き嫌い」だけで判断しない
食べられるものが少ない背景には、味やにおい、硬さ・柔らかさ・ぬめりなどの食感、温度や色、盛り付けの違いが関係する場合があります。噛み方や口の動かし方、姿勢の保ちにくさも、確認したい視点です。
初めての食べ物への不安や、以前むせたり吐いたりした経験、便秘、口の痛み、体調不良が影響することも考えられます。周囲の音や人の動き、自分で選びたい気持ち、次に何が出るか分かる安心感にも目を向けます。すべての子に当てはまるわけではなく、複数の要因が重なることもあります。
一つの行動から原因や診断を決めることはできません。「いつ、どこで、どんな物が食べにくいか」を見ることが出発点です。背景を整理する考え方は、SHIP中央のアセスメントと個別支援でも紹介しています。
※以下は主に離乳食・幼児食を食べているお子さんに向けた工夫です。離乳開始前の赤ちゃんに食材を試す案内ではありません。離乳の進め方は発達に合わせ、心配があれば保健師や小児科へ相談しましょう。
無理に食べさせる前に確認したい5つのポイント



1.食材名より「どんな状態なら食べられるか」を見る
「野菜が嫌い」とまとめず、温度、硬さ、切り方、味付け、ほかの食材との混ざり方を見てみましょう。同じ食材でも、別皿なら気にならない、いつもの形なら口にできる、といった違いがあるかもしれません。
記録は「食べ物/状態/子どもの様子」を一行ずつで十分です。食べられた物と食べにくかった物の共通点を探します。毎食細かく書く必要はなく、気付いた日のメモで構いません。
2.食べる姿勢と食事環境を確認する
椅子や机の高さ、足元の安定、食器の位置、テレビの音などを確かめます。食器が遠くて身体を大きく伸ばしていないか、周りが気になって落ち着きにくくないかを見てみましょう。
合う椅子や姿勢は一人ひとり異なります。身体を無理に固定したり、一つの姿勢を全員に当てはめたりせず、座りにくさや食べにくさが続くときは、医療機関などの専門職へ相談してください。
3.「食べる」までを小さな段階に分ける
新しい食べ物を嫌がるときは、次のように「どこなら安心して関われるか」を考える方法があります。
- 食卓にあることを受け入れる・見る
- 触る・においを確かめる
- 本人が望めば、唇や舌で触れてみる
- 安全に食べられる状態で、少量を口に入れてみる・食べる
これは順番どおりに進める課題ではありません。見るだけで終わる日があっても失敗ではなく、嫌がるときは止めます。口に触れる・入れる段階は、年齢や噛む・飲み込む力に合い、安全が確認できる食材に限ります。むせやアレルギーが心配な場合は家庭で試さず、先に医師へ相談しましょう。
食材に触れる体験と食事の時間は区別し、手洗いと清潔な食器を基本にします。加熱が必要な物を生で口に入れたり、遊びに使った食材をそのまま食べたりしないよう、大人が見守ります。
4.安心して食べられる物を残しながら経験を増やす
いつも食べられる物を用意したうえで、新しい食材は負担にならない少量を別皿にするなど、本人が関わり方を選べる形を考えます。量や回数を一律に決めず、その日の体調や反応に合わせましょう。
食べられる物を全部取り上げる、食べるまで空腹で待たせる、口へ押し込む方法は勧められません。ご褒美や叱責で食べさせようとするより、安心して食卓にいられる条件を探します。栄養の偏りが気になる場合は、小児科や地域の栄養相談で一緒に確認できます。
「食べられる物が少ない」「姿勢や噛み方も気になる」という場合は、SHIP中央の見学時にも食事の様子をお聞かせください。見学・相談フォームはこちら。
5.家庭だけで抱えず、園や支援機関と共有する
園と家庭で食べ方が違っても、どちらかの関わりが間違っているとは限りません。時間帯、食器、関わる人、周囲の刺激など、条件の違いを比べてみます。
- 食べられる物・食べにくい物、食べやすい形や温度、食器
- 姿勢と食事時間、むせや咳の有無
- 園と家庭の違い、食事中の表情や行動
- 最近の体調や食べ方の変化
伝える内容を全部そろえる必要はありません。家庭でできた工夫、難しかったことの両方を共有すると、次の支援を考えやすくなります。生活につながる支援の例は、SHIPの「個別活動」をご覧ください。
医療機関へ相談したいサイン
次のような様子があるときは、偏食として見守るだけにせず、小児科などの医療機関へ相談してください。児童発達支援だけで安全性や原因を判断することはできません。
- 食事中に繰り返しむせる、強く咳き込む、飲み込みにくそう
- 食事に非常に長い時間がかかる
- 体重が減った、成長が心配、水分を含め摂取できる物が極端に少ない
- 食べると痛がる、嘔吐が続く、急に食べられなくなった
- 食物アレルギーが疑われる
息が苦しそう、顔色が悪い、反応が乏しいなど緊急性がある場合は、119番などで速やかに救急につなげてください。水分が取れずぐったりしている場合も、早急に医療機関へ相談します。疑わしい食材を少量なら大丈夫と試したり、自己判断で除去する食品を広げたりせず、医師の指示を受けましょう。
SHIP中央では、食べ方や姿勢も一緒に考えます
山梨県中央市の児童発達支援SHIP中央は、未就学のお子さんを対象に、個別活動や日常生活の支援とともに「摂食指導」を案内しています。SHIPの強みでは、食べる・飲むことや姿勢に関する支援を紹介しています。
相談の際には、食べる姿勢、口に入れる量、噛む・飲み込む様子、スプーンなどの食具の使い方、偏食で困っていることをお伝えください。ご家庭や園の様子を伺い、その子が取り組みやすい条件や、日常生活につながる関わりを考える手がかりにします。具体的な支援内容や担当体制は、見学・相談時にご確認いただけます。



SHIPは医療機関ではありません。診断や治療の代わりを行うものではなく、むせ・飲み込みの問題など、医学的な評価が必要な場合は医療機関への相談を優先します。利用による偏食の改善をお約束するものでもありません。
まとめ|偏食の相談は、気になる段階から
子どもの偏食が気になるときは、食材の状態、姿勢と環境、安心して関われる段階、食べられる物の確保、園との共有を手がかりにしましょう。食べない理由を一つに決めず、親子だけで抱え込まないことが大切です。
「このくらいの偏食で相談してよいのかな」と迷っている段階でも構いません。食べられる物や食事中の様子、家庭で困っていることをお聞かせください。SHIP中央は、利用を決めていない段階から見学・相談を受け付けています。迷いを整理したい方は、「療育に行くほどなのかな?」と感じている保護者の方への記事も参考にしてください。
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参考資料
以下の公的・専門的資料を参考に、家庭で確認する視点を整理しています。本記事の5つのポイントは、特定の訓練法や効果を示すものではありません。
- こども家庭庁「児童発達支援ガイドライン」(令和6年7月)
- 厚生労働省「授乳・離乳の支援ガイド」(2019年3月、こども家庭庁掲載)
- 京都市「幼児期の食事のポイント」
- 日本小児歯科学会「産まれてから2歳頃まで」
情報確認日:2026年9月10日。支援内容の最新情報は、SHIP中央の施設案内・相談窓口でご確認ください。

